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JAPONICA VIRUS ジャポニカ・ウイルス
主演・斉藤陽一郎さん単独インタビュー
全てを<保留>して生きる男の、漂流と再生のロードムービー。
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 1995年のVシネマ『教科書にないッ!』で、初監督を務めた青山真治氏に見出され、青山監督の映画デビュー作『Helpless』(95)で映画初出演。その後『チンピラ』(96)『冷たい血』(97)『EUREKA』(00)など、青山作品に欠かせない存在となった斉藤陽一郎さん。
 新作『ジャポニカ・ウイルス』(入江悠監督)で主人公・陽一郎を演じた斉藤さんに、撮影の裏話や本作の見どころ、またプライベートのお話などを伺いました。






●『何か役があるなら出してよ』と言ったら『主役があいてます』と言われました

 中国で発生した新種の"カニエ・ウイルス"が蔓延し始める、近未来の日本。次々に感染し、命を落としていく人々。陽一郎の弟も突然亡くなり、同棲中の倫子と弟の遺骨を故郷に届けることになるのだが、日々の生活でたまったストレスを抱えた二人の関係は最悪。それでも二人は旅を続けることになる…。
 『ジャポニカ・ウイルス』は、どこか不穏な空気の漂うロードムービーです。

― 本作に出演することになったいきさつから教えてください。
「冨永昌敬監督の『パビリオン山椒魚』に出演した時、入江監督が助監督についていたんです。撮影が終わった後で一緒に飲む機会があって、その時に新作を撮るという話を聞いたので『何か役があるなら出してよ』と言ったら『主役があいてます』と言われて(笑)出演することになったんです」

― 脚本を初めて読んだ時の感想はいかがでしたか?
「入江監督の過去の作品もそうなんですが、全体的に不穏な空気が漂っていて。主人公の行動に共感できる部分もあって、面白いなと思いました」

― 主人公の名前が同じ陽一郎ですね。
「本を貰ったとき、僕もびっくりしたんです。監督はこの作品を2年くらい温めていて、主人公の名前も決まっていたそうです。同じ名前の役を演じるのは初めてなので、感覚的にちょっと変な感じはしましたね。でも運命的なものも感じました」

― 入江監督の印象はいかがでしたか?
「淡々と物事を見ながら作って行く、という人です。現場でも全体を見ながら、『じゃあ、こういう風にしましょうか?』といった感じでした。この作品は、前半はかなり不穏な空気に包まれていますが、車で旅を始めるあたりから『ちょっと面白い感じにして行きたい』と監督に言われて、コミカルな部分を入れようということになりました」

― 工夫されたシーンはありますか?
「鳥栖(なおこ)さん(恋人・倫子役)が手にしている木の棒を、僕が何度も取り上げて放り投げるシーンですね。前から、“大人が棒を持つ”という行為が面白いと思っていたんです」

― 共演された鳥栖なおこさん、杉山彦々さん(旅の途中で出会う男・木下役)の印象はいかがでしたか?
「鳥栖さんは、現場に素直に順応して演じる人で、とても演じやすかったです。杉山くんとは4度目の共演なんですが、彼は“異物でありたい”と常に考えている人なんです。変わった役をやる事が多いですね」

― 陽一郎はいつも苛立っている人物ですが、役作りはどのようにされましたか?
「誰もが抱えているイライラ感。日常にあるストレスや不安感みたいなものを強めに抱え続けることで、この作品が完成するんじゃないかと思い、演じました」

「陽一郎と僕自身、だらしないところなんか似てますね。僕にも弟がいて出来がいいので、同じように比較されます(笑)」

― ロケはどこで撮影したのでしょうか。
「エキストラを募集して撮った群集シーンは、埼玉の深谷市です。入江監督の実家のそばなんです(笑)。最後の雪のシーンは新潟です。僕は北海道出身なので雪には慣れているんですが、予想をはるかに超えた雪原でした。彼女をおんぶして歩くシーンも、10歩と言われても雪が深くて5歩で動けなくなるんです。もう1歩のところで倒れこんでしまうというライブ感もありました。すごく寒くて冷たかったですね。寒さとの闘いでした」

「鳥栖さんは雪の上で寝ているシーンが多かったので、そのまま気が遠くなりかけて『大丈夫か!?』という時があったり、僕も身動きがとれないのにそれでも猛ダッシュするシーンを撮って、終わった後は過呼吸になったりしました」

― 印象に残っているシーンはありますか?
「車に乗って移動するシーンでは実際僕が運転しているんです。景色も変わって行くので、旅をしている感覚を味わえたのはすごく楽しかったですね」

― 本作のように恐ろしいウイルスが蔓延する事態になったら、どうしますか?
「能動的に受け入れるというか、立ち向かおうとすると思います」






●何をやりたいというのではなく、与えられた役をきちんと演じて行きたい

― 俳優になろうとしたきっかけを教えてください。
「高校生の時、下北沢に舞台を観に行って衝撃を受けたんです。最初はにこにこ笑って楽しんで観ていたんですが、何本か観ているうちに『笑ってんじゃないよ!』という自分が現れたんです。『お前の場所は観客側じゃなくて、舞台の方だろう!』って。それから演技を始めて、小さな舞台に客演として出るようになりました」

― 俳優として普段から心がけていることはありますか?
「“くだらないことに一生懸命になる”という事は意識しているかもしれない。凝り性なところもあるんですが…飽きっぽいところもありますね(笑)」

― お休みの時の過ごし方を教えてください。
「割と引きこもりなんですよ(笑)。フラフラ散歩するくらいですね。バイクにも乗るんですが、趣味というよりは移動手段に使っているだけなんです(笑)」

― 好きな食べ物は?
「そんなことも聞くんですか?(笑)。最近は……まだ暑いのでソフトクリームがおいしいなと思いますね。良くわかんないや(笑)。僕はいろんなことをあまり考えてないかもしれないですね(笑)」

― 好きな女性のタイプは?
「僕のことを好きな人が好きです。基本的に優しい子がいいですね」

― 好きな俳優さんを教えてください。
「『EUREKA』で共演した役所さんからは、いろんなことを教えて頂きました。貴重な体験をさせてもらいました。女優では、ヘザー・グラハムがちょっと好きですね……そんなに好きかなあ? あんまりわからないなあ(笑)」

― 今後演じてみたい役はありますか?
「僕が思っている僕と人が思っている僕は違うと思うので、やりたいというよりは、与えられたものをきちんと演じて行きたいですね」

― 最後にこの映画を観る人たちへのメッセージをお願いします。
「不穏さの中にも、陽一郎と倫子の関係のかわいらしい部分や、ダメ人間なんだけれども愛らしい部分が描かれています。『ダメでいいんだ』というのを観て欲しい。ロード・ムービーなので、不穏な日本を一緒に旅している感覚になっていただけるとうれしいですね」

「一本道を車で走り続けるラストは、『まっすぐしかないんだ』『どこに行くのか分からないけれど、とにかく前に行くんだ』というところに希望があるというか。そこに、これから向き合わなくちゃいけない未来があるんじやないかな」



プライベートの質問になると、ちょっと困った様子で笑顔がこぼれる斉藤さん。そんな表情は“いたずらっ子”みたいで魅力的です。
 映画中心に活躍されている斎藤さんは、現在公開中の『46億年の恋』(三池崇史監督)、『パビリオン山椒魚』(冨永昌敏監督)にも出演のほか、『こおろぎ』(青山真治監督)が公開待機中。今後の活躍がとても楽しみな、独特の個性を感じる俳優さんです。


 どんな時にも希望はある。どこに辿り着くか分からなくても、進まなければならない時がある。
 全てを後回しにして生きてきた主人公の心の漂泊を描いた『ジャポニカ・ウイルス』は、これが長編デビューとなる入江監督が、様々なジャンル映画へのオマージュを要所に詰め込んだ“壮大な” ロード・ムービー。クライマックスの雪上での飛行機墜落シーンは大迫力です。


2006/9/4 バイオタイド(中野)
取材・撮影:福住佐知子、WebStyle


「JAPONICA VIRUS ジャポニカ・ウイルス」
2006年9月30日(土)より、池袋シネマ・ロサにてレイトショー他全国順次公開


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